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科学技術に関する調査プロジェクト

1. 科学技術と国会

科学技術に関する国政課題

科学技術は、医療・健康、エネルギー、情報通信などあらゆる分野に関わっており、私たちの生活に欠かせません。科学技術の発展は、人類の進歩への貢献だけでなく、経済成長や生活水準の向上などにも結び付くものである一方、法的・社会的・倫理的課題を生ずることもあります。科学技術は、我が国全体で考える必要がある重要な国政課題のひとつです。

科学技術に関する立法活動

国会では、科学技術に関する国政課題に対応するため、科学技術政策に関する立法活動や予算審議等が行われています。近年は、科学技術に関する法案が議員立法により提出されることも増えています。

科学技術情報に対するニーズ

科学技術の多様化・高度化に伴い、科学技術に関する情報は、以前にも増して重要なものとなりつつあります。国会では、科学技術に関する法案の起草・審議、科学技術に関する予算案等の審議を適切に行うために、科学技術に関する正確かつ客観的な情報へのニーズが高まっています。

諸外国における取組

諸外国の例を見ると、イギリスの議会科学技術局(POST)、ドイツの連邦議会技術評価局(TAB)、フランスの議会科学技術選択評価局(OPECST)のように、立法府に科学技術政策調査機関が置かれています。アメリカでは、連邦議会会計検査院(GAO)が同様の役割を担っています。

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2. 調査及び立法考査局の科学技術政策調査

国立国会図書館調査及び立法考査局は、国会のための調査サービス(立法調査サービス)を担っており、さまざまな国政課題について、国会議員、衆参両院の委員会、政党などからの依頼に基づき調査を行うほか、国会議員のニーズを予測して独自に行う調査研究の成果を刊行物として取りまとめています。これらの調査は、国立国会図書館が所蔵する膨大な情報資源を活用し、客観的・中立的な見地から実施します。刊行物は一般にも公開しています。
2010年4月、調査及び立法考査局は、科学技術に関する立法調査サービスの一層の充実を図るため、文教科学技術課に「科学技術室」を設置しました。科学技術室は、科学技術に関連する調査を担っています。
また、調査及び立法考査局は、立法府における科学技術政策調査機関の国際的なネットワークである欧州議会テクノロジーアセスメント(EPTA: European Parliamentary Technology Assessment)に準会員として加盟し、各国との情報交換・交流を通じて調査能力の向上と人的ネットワークの拡充を図っています。

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3. 科学技術に関する調査プロジェクト

調査及び立法考査局は、2010年4月の科学技術室設置と同時に、「科学技術に関する調査プロジェクト」を開始しました。科学技術分野に係る重要な国政課題の中から特定のテーマを選定し、外部の専門家と連携して調査・分析を行うものです。調査の成果は報告書として刊行し、国会議員等に提供するほか、一般にも公開しています。
プロジェクトでは、国会における議案・政策等の検討・分析に役立つように、扱うテーマに係る技術概要、関連する制度や規制の現状、研究活動の動向、課題や今後の方向性を調査し、科学技術が社会に及ぼす影響や制度的、政策的対応の選択肢などを客観的かつ正確に整理します。また、諸外国の制度や議論についても調査します。プロジェクトの成果である報告書は、科学技術の基礎から政治や社会への影響まで幅広い問題を俯瞰するものといえます。
多岐にわたる科学技術の諸分野について、国会議員に有用な調査の成果を提供するためには、幅広い専門家との連携協力が不可欠です。科学技術室では、大学・研究機関や学会等とのネットワーク構築を重視しています。

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4. 調査の枠組み

「科学技術に関する調査プロジェクト」では、調査全体を統括する企画委員会の下、毎年複数のテーマを選定し、テーマに応じて当館職員による調査のほか、外部有識者と連携して行う分析型・討論型調査を実施しています。調査の成果はそれぞれ報告書として刊行します。

当館職員による調査

調査及び立法考査局の職員がチームを組織し、科学技術及びその周辺領域に関する政策課題について調査を行います。

分析型調査

現在課題となっているテーマについて、多方面から分析するため、外部有識者が学際的なチームを編成し、当館職員と意見交換を行いながら調査し、報告書をまとめるものです。

討論型調査

中長期的なテーマについて、異なる専門性を持つ外部有識者数名によるワークショップまたはシンポジウムを行い、討論を通じて課題を展望します。

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5. これまでの調査テーマ

「科学技術に関する調査プロジェクト」は、プロジェクトの開始以降、科学技術政策に係る全体的な枠組みから個別の分野まで、様々な観点から調査を行ってきました。

年度 報告書タイトル
2023 日本の宇宙政策を考える―今後10年のために何をすべきか―
デジタル時代の技術と社会
マテリアル科学―最先端と未来への選択肢―
2022 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素技術の課題と展望
宇宙空間の利用をめぐる動向と課題
科学技術のリスクコミュニケーション―新たな課題と展開―
2021 ゲノム編集技術―最前線で生じつつある課題と展望―
脱炭素社会の技術と諸課題
量子情報技術
2020 コロナ時代のソーシャルメディアの動向と課題
ゲノム編集の技術と影響
高齢者を支える技術と社会的課題
2019 「科学技術立国」を支えるこれからの研究者育成
ソーシャルメディアの動向と課題
ポスト2020の科学技術イノベーション政策
2018 極端気象の予測と防災
インフラ老朽化対策と維持管理技術
生体認証技術の動向と活用
2017 自動運転技術の動向と課題
人工知能・ロボットと労働・雇用をめぐる視点
データ活用社会を支えるインフラ
政策決定と科学的リテラシー
2016 冷戦後の科学技術政策の変容
宇宙政策の動向
2015 ライフサイエンスをめぐる諸課題
ライフサイエンスのフロンティア―研究開発の動向と生命倫理―
2014 情報通信をめぐる諸課題
情報通信技術の進展とサイバーセキュリティ
2013 再生可能エネルギーをめぐる諸相
再生可能エネルギーをめぐる科学技術政策
2012 海洋開発をめぐる諸相
海洋資源・エネルギーをめぐる科学技術政策
2011 国による研究開発の推進―大学・公的研究機関を中心に―(本編・資料編)
2010 科学技術政策の国際的な動向(本編・資料編)

お問い合わせ

TEL 03-3581-2331(代)内線 23301
東京都千代田区永田町1-10-1
国立国会図書館 調査及び立法考査局 文教科学技術課 科学技術室

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